ベトナム語の司法通訳養成講座 2023年度受講者募集のお知らせ!司法で活躍するプロの通訳者への道~

ベトナム語学習
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シンチャオ!たまたまネットを見ていたら司法通訳養成講座というものがあるらしく、しかもベトナム語のクラスが2023年に開講されるということでしたので、簡単にまとめてみました。

そもそも司法通訳士とは?

字を見て想像できるように、法律に関わる通訳者のことです。いちばん想像しやすいのが、裁判所での法廷通訳人です。

現在日本には総人口の約2%にあたる約288万人の外国人が暮らしています。このように人が多ければ、事件や紛争が起きるのは当然です。日本語を解さない被告人や証人のいる裁判に必要になるのが、法廷通訳士です。これは法律で決められていることなので、法廷通訳人なしではそのような裁判を開くことはできません。

ご存じですか法廷通訳という最高裁判所発行の冊子によると、2016年に要通訳刑事事件で判決を受けた被告人は2624人おり、ベトナム人はその20%を占め中国人に次ぎ、国籍別で第2位となっています。在留外国人の中でも2位ということを考えれば、当然の結果(母数が多いので、犯罪者数も多くなる)かもしれません。。。

そこで必要になってくるのが、法廷通訳人です。

法廷通訳人になるには

法律で必要とされた人にもかかわらず、法廷通訳人には国家資格がありません。つまり、誰でもなることができるのです。自ら各裁判所に連絡し、自分の言語で法廷通訳人として登録するという流れらしく、定期的な募集は行われていないようです。また、国籍も不問なのでベトナム語に関しては日本語が上手なベトナム人通訳人が多く活躍しているのだと予想します。給料や待遇などの面でいろいろと問題はあるらしいです。詳細は以下の記事にて

足りない法廷通訳人:過重な負担でなり手減少
日本語を理解しない外国人が法廷に立つ際に不可欠な法廷通訳人。国際化の進展に伴いニーズが高まっているが、なり手は逆に減っている。経験者を対象に行った調査をもとに、通訳人の現状と課題を明らかにする。

また、法廷通訳用のベトナム語ハンドブックもあるらしいので、興味ある方は買って見てください!

司法通訳養成講座とは

以上みたように、法廷通訳人やその他、司法で通訳する際に公的な資格はありません。そこで、東京外国語大学と青山学院大学が共同で行う司法通訳養成講座というものがあります。これを修了すれば、修了生として司法通訳士やその他通訳のお仕事がしやすくなるということです。他に似たようなものに、日本司法通訳士連合会が主催する司法通訳養成講座もあります。こちらは、民間試験にはなりますが司法通訳士認定試験としてベトナム語の試験を過去に行っていました。

そして、東京外国語大学と青山学院大学が共同で行う司法通訳養成講座の2023年度ではベトナム語での講座が開講されます。他にタイ語とスペイン語のクラスもあります。また、今回はオンラインで行われるので場所を問わずに参加することができます。

受講する条件

受講生は高度なベトナム語能力を求められます。そのため、書類審査と口述試験の2段階の審査があります。高校を卒業した人ならだれでも応募はできますが、受講するためには高度なベトナム語能力を求められるというわけです。裁判で通訳をする人のための講座なので、当然ですね。

また、募集要項を見ると外国人むけに日本語レベルのチェックがあるので、外国人の応募が多いのでしょう。

受講期間

ベトナム語の受講期間は以下の通りです。毎週土曜日のみです。

春学期:2023年4月8日(土)~7月15日(土)
秋学期:2023年9月16日(土)~2024年1月20日(土)
 [休講日] 2022年9月23日、11月4日、12月30日、2023年1月13日

受講料

年間261000円です。決して安くはありません。

募集期間

2022年12月12日(月)10:00~2023年1月13日(金)23:59

現在、募集真っただ中です!

受講後は?

HPによると、

本講座は履修証明プログラムとして開講されており、修了者には履修証明書を交付します。更に、各科目15回の授業のうち、全科目に12回以上出席し、かつ司法通訳Ⅰ・Ⅱおよび法廷通訳実践Ⅰ・ⅡのすべてにおいてA の成績評価を受けた方には併せて、両大学長連名の司法通訳養成講座修了証も発行します。講座修了後は、各種研修会等、司法通訳としてレベルの向上と質の継続的な確保を図る機会を提供します。また修了証を取得した方のうち、希望者を「司法通訳養成講座修了生」として登録し、司法関連機関から依頼があったときに紹介します。

http://www.tufs.ac.jp/blog/ts/g/cemmer/shiho/2023.html

ただ、以下の記事によると、2019年以降のベトナム語修了者はたった3人だったようです。

在留ベトナム人の増加に対応できない、司法の現場もあるのかもしれません。

ベトナム語通訳、警察で不足 摘発急増で採用追いつかず - 日本経済新聞
日本で暮らすベトナム人が増えていることに伴う摘発件数の急増で、ベトナム語の捜査通訳が各地で不足している。取り調べへの立ち会いに加え、押収資料の翻訳にも駆り出され「夜間や休日の呼び出しは増える一方」(愛知県警の警察官)だという。なり手不足解消に向けた取り組みは官民双方で広がりつつあるものの、決定打に欠けるのが実情だ。「多...

さいごに

以上です。本気で司法の分野で通訳をしたい方向けの講座になるので多くの方にはあまり関係がないかもしれません。ただ、法廷通訳人というものがあり、ベトナム語を生かせる仕事があるということを知っていただきたいです。また、国家資格制度や待遇改善など、国としてのバックアップがあれば日本人ベトナム語スピーカーの数も質も向上すると思います。

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